印鑑について

 今日は印鑑についてです。(なぜか段落がうまくできず読みにくなってしまっています)
印鑑は、昔、中国を経由して伝わってきたものだと思いますが、日本社会の中では、いわゆるハンコとして、深く根付いていますね。社会の時間にでてきた、漢委奴国王印、改めてみるととても立派です。http://museum.city.fukuoka.jp/gold/
中国の歴史ドラマを見ていると、皇帝や権力や地位の象徴として、印鑑(正式には印章だそうですが)がよく出てきます。皇帝の地位を得る象徴として、印鑑を手に取る場面などもよく出てきます。以前鑑賞した中国歴史ドラマ「三国機密(原題:三国机密之潜龙在渊)」のオープニングでも、印象的な印鑑が出てました。
https://bd-dvd.sonypictures.jp/sangokushi/index.html#s_0 https://www.netflix.com/jp/title/81394831 (話がそれますが、面白いドラマなので興味がある人は見てみてください。三国志とついていますが、三国志の時代の漢の皇帝を主人公にしたネット小説が原作で、いわゆる三国志で有名な面々は出てきません。曹操ファミリーは主要な登場人物です。同時期に放映されて同時代が舞台のドラマ、「三国志〜司馬懿 軍師連盟〜」と共に本国でもヒットしたようです)
ただ、今の中国では印鑑はあまり使われておらず、印鑑を売っているお店は伝統的な文具店(書道道具などを扱うお店)に行くと印鑑があって、オーダーメイドで作ってもらえたりしますが、日本のような公的機関での印鑑登録制度はなく、落雁のような形で書物や絵画に押す用途がメインだと思われます。実務においても、印鑑は中国が本場で中国にも日本と同じように印鑑登録制度があり、印鑑証明が発行されるのですよね?と聞かれることもおおいのです。中国の公正処に行き、「この印鑑は自分のものと相違ない」という内容の公証書を発行してもらうことはできるようですが、いわゆる印鑑証明ではなく、日本で便宜それをもって印鑑証明とする扱いです。登記実務では、そのような場合、印鑑ではなく、署名と本人の署名であることを証明する書類を用いることが多いです。
印鑑、日本でも廃止の動きがありますが、民事訴訟法に次のような規定があり、文書に押印があれば、その文書がは作成者の意思に基づいているであろう、とされるので、印鑑がよく用いられているのだと考えています。これと、印鑑登録制度のセット(実印の押印と印鑑証明書)で、より強固なものになる扱いです。そのため、印鑑登録制度がすぐになくなるということは、なかなかないのではないでしょうか。
民事訴訟法第228条(文書の成立)文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
2 文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。
3 公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
5 第二項及び第三項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。
なお、不動産登記や法人登記関係など、重要書類では実印を押さないといけない場面が多いです。不動産登記法や商業登記法には印鑑に関する規定が多く、登記実務家として、印鑑は大変身近な存在です。
印鑑はいろいろありますが、実務的には、「認印」か「実印」か、これは大きな違いです。実印は印鑑登録をした印のことであり、ざっくりいうと認印はそれ以外の印鑑です。またそれぞれ、個人のものと、会社など法人のものがあります。印鑑登録は、個人であれば住所地の自治体で行い、会社など登記する法人であれば法務局で行います。それぞれで印鑑証明書が発行されます。
会社設立の際、会社の印鑑を作成することになるのですが、登記手続と合わせてこちらで手配することも多いです。大体、実印、認印、銀行印の3点セットで準備することが多いです。印鑑を一つだけにして、すべて同じ印鑑にして使いまわすことも可能ではありますが、銀行用と、普段使いの認印と、大事な書類に押す実印は、分けて管理した方が安全です。
印鑑の材質もいろいろありますね。長く使うものです。欠けてしまうと面倒ですので、実印や銀行員などはそれなりの者がいいと思います。ただ。今は技術も発達しているので、はんこ屋さんがお勧めするものであれば問題ないと思います。前、チタンの印鑑を持ってきた方がいらっしゃったのですが、陰影がとても鮮明でびっくりしました。本体は結構重ためでした。
印鑑、実務で、依頼者の方が持ってきた印鑑を、お願いされて目の前で代わりに押印させていただくことがよくありますので、一般の方より押印の機会は多いと思います。
印鑑に掘る文字について、私は、個人の実印であれば、氏だけでなく下の名前も入れて作成するのがおすすめですし、自分もそうしています。遺産分割や夫婦で書類を作成する場合など、氏が同じ人が出てくる場面では、下の名前も入っていた方が誰のものかわかりやすいからです。また、印鑑の上の位置のマークはあった方が押す際に迷わないので便利だと思います。

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